エッセイ

2008年06月10日

音楽遍歴3

音楽遍歴 (日経プレミアシリーズ 1) (日経プレミアシリーズ (001))
小泉元首相の自伝はまだ書かれていないが、本書は、クラシックやオペラ、プレスリーなど音楽分野の好みに関する自伝のような本である。小泉元首相の語り口そのままの文章であるため、文章でも特徴が出るのだなと最初は思ったが、元首相へのインタビューをして書かれた本とのことである。断定的な話し言葉が多いのはこのためか。だが、元首相の雰囲気が良く出ていると思う。

素人の趣味とは言いながら、幅広くクラシックを聴いてきた嗜好の変化などが詳しく書かれている。クラシックやオペラに興味の無い人でも、本書を読むと、自分も聴いてみようかと思うかもしれない。

音楽の楽しみ方を知らせてくれる本である。



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2008年02月26日

使ってみたい武士の日本語3

職場に、古武士の風格を持った初老のコンサルタントがいる。この人が書く文章は少々古くさい感じがあり、外資系コンピュータ会社出身という経歴とのギャップがおもしろいと常々思っていた。先日、「お手前は」と言われたときには、ひっくり返りそうになってしまった。本当に武士のような人である。

使ってみたい武士の日本語
 

この本は、武士が使った言葉を集めた本である。歌舞伎や文楽、落語からではなく、剣豪小説などでの使い方が引用されている。

片腹痛い、これはしたり,,,などという言葉は日常では使いにくいが、一つまいろう、過ごされよなどは、宴会で使えそうである。

剣術の言葉や行動・仕草の言葉、人物を評する言葉、酒と色を語る言葉など、さまざまなものが載っている。

すぐには使えそうな言葉はあまりないが、読書の役には立つ本だと思う。



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2007年11月07日

戦闘機パイロットの空戦哲学3

戦闘機パイロットの空戦哲学―トップガンの素顔 (光人社ノンフィクション文庫 548)

戦闘機のエースパイロットはどんな人なのだろうか。ものすごい剣術の達人みたいな人たちなのだろうか。そんな興味を持って、この本を買ってみた。

著者は退役した自衛隊の戦闘機パイロット。トップガン、エースではあったが、もちろん実践の経験はない。本書では、戦闘機乗りという人たちについて、焦点を当てて描き出している。また第2次世界大戦のエースパイロットについても、いろいろと書いている。

エースパイロットは運動神経が鋭敏で身体機能に優れている、わけではないということがわかった。

ただし、物事のとらえ方、考え方は武術家に似ていると感じた。



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2007年10月12日

世界征服とロシアの闇の話4

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)

著者は、かつてアニメ「ふしぎの海のナディア」などを世に送り出した人とのこと。アニメやコミックの世界で物語の中核をなす「世界征服」について、深い考察を加えたのがこの本である。本書で著者は世界征服について、つぎのように整理している。

世界征服の目的

  1. 人類の絶滅
  2. お金が欲しい
  3. 支配されそうだから逆に支配する
  4. 悪を広める

支配者のタイプ

  1. 魔王 正しい価値観ですべてを支配したい
  2. 独裁者 責任感が強く、働き者
  3. 王様 自分が大好きで、贅沢が大好き
  4. 黒幕 人目に触れず、悪の魅力に溺れたい

世界征服の手順

  1. 目的設定
  2. 人材確保
  3. 資金の調達と設備投資
  4. 作戦と武装
  5. 部下の管理と粛清

世界征服・その後

  • 夜景を見ながらお酒
  • 銅像と教科書
  • 支配階級の形成
  • ハーレム
  • 後継者問題

楽しんで読める本だったが、この本の直前に下記の本を読んでいたため、妙なリアリティを感じてしまった。そう、世界征服の手順通りにやった秘密組織、国家の支配者がいたのだ....

ロシア闇の戦争―プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く
著者は元ロシアの秘密警察の将校で、英国に亡命した人物。プーチン政権と秘密警察組織のロシア連邦保安庁(FSB)の陰謀を暴露し非難していたが今年、亡命先の英国で暗殺された。暗殺には特殊な放射性物質が使用されたことからロシアの政府の関与が指摘され、英国とロシアの間で外交問題となっている。

本書で著者は、第2次チェチェン戦争勃発の気運を醸成したモスクワの連続アパート爆破テロが、実はFSBの偽装テロであったらしいことを暴露している。そして、これによって旧KGB出身者であり、FSB長官だったプーチンが首相、大統領とステップアップして権力を掌握することになったのだ主張している。

ソビエト連邦崩壊後の混乱の中で、ロシアのKGBなどの諜報・秘密警察組織などの特殊機関は解体、再編された。そのなかで、特殊機関は下部組織として新興の犯罪組織を取り込んで活用を始めた。ところが、いつのまにか特殊機関と犯罪組織が融合して一体化し、それぞれの特殊機関同士が、自らの利益を求めて互いに対立、競合していったことも説明されている。単純化して言うならば、犯罪組織と融合した特殊機関が肥大化し、その支配者を国政に送り込み権力の全権を掌握した、という話になる。まぁ、ここまで単純な話でもないだろうが...

プーチン政権では旧KGB出身者が重用され、次の大統領候補も旧KGB出身である。またプーチン大統領は、大統領退任後に再び首相となるという報道もある。ずっと権力を掌握し続けるつもりなのか。まさに「世界征服は可能か?」のストーリー通りである。プーチン大統領の勤勉さはロシア国民から高い評価を受けているという話と重ね合わせると、魔王タイプと独裁者タイプの支配者ということだろうか。

自らの銅像を建てたり、教科書を書き換え始めたら要注意である。



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2006年09月01日

トーキョーの味方4

東京は都市国家なのではないかと思うときがある。東京=日本ではないし、日本=東京ではない。だが、日々、東京で暮らし、東京から地方への出張を繰り返していると、東京≒日本のような感じがし、東京が一つの国のような錯覚を感じるときがある。

僕、トーキョーの味方です―アメリカ人哲学者が日本に魅せられる理由

この本は、よくある日本人論ではない。日本論でもない。東京論、東京人論である。米国のカンザスの出身者が東京に住み、その都市としての魅力にとりつかれ、第三者的に東京の特徴を叙事詩的に描いている。そんな本である。

東京に住んでいる日本人も、東京に住んでいない日本人も、言われるまで、明確には気がついていなかったことが、たくさん書かれている。

ニューヨークはアメリカを代表する都市ではあるが、アメリカという国そのものではない。東京も日本を代表する都市ではあるが、日本そのものではない。だから、日本的なものと東京的なものは、イコールのものもあれば、正反対のモノもある。そういったことを気づかせてくれた本だった。

ちなみに著者は、東京西部に住んでいるとのこと。新宿、渋谷を活動範囲として中央線方面に住んでいる人には、共感できる内容も多いのではないだろうか。



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