未来を見通す

2008年06月22日

超巨大旅客機エアバス3804

超巨大旅客機エアバス380 (平凡社新書 413)
ぜひ乗ってみたい飛行機である。総2階建て飛行機で、座席や機内設備もゆったりしていて、そして静か。夢の飛行機の登場である。ボーイングのジャンボジェット機も大きいが、それよりもさらに大きい。そして、現代の最新テクノロジーが詰まっている。

本書は、A380の開発のストーリー、性能の特徴、導入を予定しているエアラインなどを紹介している。また、人類が巨大旅客機にチャレンジしてきた歴史なども書かれており、夢の飛行機登場という意義がよくわかるようになっている。

成田にはシンガポール航空がA380を毎日就航させている。まずはシンガポール航空のホームページでA380の紹介を楽しむのも良いのでは。

 



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2008年05月04日

波乱の時代(下) −世界と経済のゆくえ−5

波乱の時代(下)

下巻の内容は、資本主義の擁護者の面目躍如である。アメリカ経済の守護神、バリバリの保守主義者という印象を受けた。

経済成長と資本主義の関係からはじまり、各国の今後の経済成長の見通し。特に中国、ロシア、インドの見通しと中南米のポピュリズムを取り上げている。いわゆるBRICsである。

米国の経常収支と巨大な債務については、それほど問題ないと言っている印象だった。

グローバリゼーションと規制、インフレ対策なども語られている。教育と所得格差の章では、米国の初等・中等教育の問題点が挙げられている。

高齢化社会、コーポレート・ガバナンス、エネルギー問題についても取り上げられ、そして最後には未来予測まで書かれている。盛りだくさんであり、経済学の教科書になりそうな内容である。フラット化する社会のFRB版という感じ。

ただどうしても、FRB議長という上からのマクロの視点が中心であることから、何かしらの見落としや穴もありそうな印象も受けた(サブプライム問題もその一つなのだろう)。行動心理学的な観点が少ないのではないだろうか。見えざる手を信頼しすぎているかのような気もした。

とはいえ、すばらしい本であることは確かである。



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2008年03月02日

ウィキノミクス3

ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ

本書は、Web2.0の真の姿を深く理解するための本であると思う。

最近のネットワークを使った新しい形態のビジネスのコラボレーションがどのように行われているのか、本書では詳細に書かれている。情報量が多すぎて、読んでいて、少々、消化不良になった感もある。最新のネットビジネスのビジネスモデルが多数紹介されており、最新のネットビジネスを理解するための良い教科書になると思った。



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2007年12月06日

小泉官邸秘録4

小泉政権の5年半を政策秘書が振り返ったのがこの本である。

小泉官邸秘録

小泉政権が国民の支持を権力基盤とした政権であったこと、自民党との駆け引き、官僚組織の使いこなしなどの苦労とその成功を綴ったものである。秘書の仕事の振り返りというよりも、小泉政権の政策決定プロセスがどのようなものであったのか、どのような苦労があったのか、どのような工夫があったのかということが描き出されている。読んでいて、とても痛快でな物語である。また一方で、マスコミ報道の偏りによって、小泉首相に対していろいろなイメージを私たちは植え付けられていたのかもしれないという印象も持った。本書が痛快なのは、小泉首相の筋を通す、正論の正攻法のスタンスにあるのかもしれない。自己啓発の本にはよく、あきらめないことが成功の条件としてあげられているが、小泉首相はその典型例なのだろうと思った。

本書では、内閣は官僚を使いこなしつつ自民党と戦ったという書き方をしていたが、一方で竹中平蔵大臣の本では、自民党の有志の協力を得つつ、官僚組織との戦った話が書かれており、これもポジションと与えられた任務の違いがあらわれていておもしろかった。

ぜひ、この本も読み比べてほしい。

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌



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2007年03月18日

不都合な真実4

映画「不都合な真実」を見て、たいへん感銘を受けた。豊富なデータに基づく説得力のある論理展開と、それを納得させるアル・ゴア氏の心を揺さぶるプレゼンテーション。そこでしっかりと理解したいと思って買ったのが本書である。

不都合な真実
まさに、映画のなかのプレゼンテーションで提示されるデータや写真がそのままの形で収載されている。美しいビジュアル、昔の美しい自然と温暖化による変わり果てた姿、人工衛星から撮影した様々な地球、地表での人間の活動など。前編で320ページ以上あり、ほとんどがカラーの素晴らしいテキストとなっている。

ときどき読み返して、内容を忘れないようにしたいと思う。

映画と本書を比べた場合、映画のほうがインパクトが大きい。アル・ゴア氏のプレゼンテーション能力の高さとメッセージの明快さが実感できる。映画を先に見ることをお薦めしたい。



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2007年02月24日

地球温暖化の事実5

ドキュメンタリー映画「不都合な真実」を見た。地球温暖化は単なる理論ではなく、実際に進行中の事実であるということを、アメリカの元副大統領アル・ゴア氏は説得力のある数々のデータをもとにわかりやすく説明してくれる。そして我々が今すぐ行動を起こさないといけないことを、メッセージとして心の奥底にまで届けてくれた。

地球温暖化はゆっくりと進行するものではなく、ある時点で急激な地球環境の変化を引き起こす恐れがあるということは衝撃的だった。南極の棚氷の大規模な崩落や、グリーンランドの氷が海に落ちると、世界の海面が最大で6m上がる可能性があること、塩分濃度の低い冷たい海水となるためメキシコ湾流を止めてしまうかもしれないこと(その場合、ヨーロッパは寒冷化する)、海面上昇で世界で1億人の避難民が出るであろうこと。

また、温暖化をテーマとした科学論文900本以上を調べた結果、温暖化はないという論文は1つもなく、科学界では温暖化は既知の事実となっていること。それなのにこの真実を不都合なものであるとして、産業界やその意を受けた政治の世界では無視されていること(特に米国議会で)。

まずは身近なところから行動を起こそうとゴア氏は言う。ゴア氏の熱意と知識と誠実さを感じさせるこの映画は、心に伝わる最高のメッセージであり、きわめた優れたプレゼンテーションであった。本当に納得できた。

自分も行動を身近なところから行動していこうと思う。

本当にお薦めの映画です。



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2006年12月30日

商品の時代4

クォンタム・ファンドをジョージ・ソロスと共同で設立したジム・ロジャースは、2回も世界一周をした冒険家としても有名である。このジム・ロジャースによる商品投資の手引き書である。

大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代

商品は今後、上昇相場を形成するというのが著者の主張である。これまで低迷していた商品市場が、中国などの需要の急拡大、これまでの需要低迷による生産力の縮減などによって、供給過多から需要過多に切り替わるという話である。

商品の場合、需要が急増したからといって急に供給を増やすことはできない。このため需給ギャップは数年以上続き、その間は商品の価格は急騰する。価格が上がったことで、生産者が皆、供給を増やそうとして今度は供給過多になり、価格が暴落する。この繰り返しらしい。たしかに油田の開発や鉱山の採掘、コーヒーの木を植えてから収穫までの期間など、何年もかかるものである。

株だけでなく商品にも関心を持つことが必要かもしれない。



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2006年12月03日

日本の新・富裕層4

ここのところ、格差社会ものをたくさん読んできたが、どちらかというと下流の話が多かった。書店でもそういうものが多かったと思う。ところが最近、格差社会のなかでも上流、富裕層に焦点をあてた本が現れ始めた。

ニュー・リッチの世界 The New Rich World

本書は、富裕層向けのサイトや雑誌「Seven Hills」を運営している富裕層マーケティングの専門家が著者である。「今」の日本の富裕層について、詳しく説明されている。

富裕層とは時代をリードする立場にある。彼らの行動やスタイルを中流がまねて、世の中の流れが出来ていくということらしい。今の時代のニューリッチの生活は、次の時代の一般大衆の生活になるというわけである。

富裕層の5大ニーズとは

  • 資産防衛
  • 教育
  • エンターテイメント
  • アンチエイジング
  • セキュリティ

だそうである。

教育では、日本の名門校ではなく世界の名門校に子弟を入れたいという流れらしい。このような発想は、日本のニューリッチだけでなく、中国やインドなどのニューリッチも同じとのこと。これからの時代は、世界全体が1つの学歴社会になり、世界規模でいい大学、いい大学院を目指す動きが加速する。

これまでに読んできた格差社会の本ではどれも、教育の大切さが説明されてきた。科学技術の進歩で仕事自体が難しくなること、そして本書で書かれているように世界全体が1つの学歴社会となっていくこと、この流れは止まらないのではないだろうか。

こどもたちの教育に対する大人の責任は今まで以上に重くなっていく。

 



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2006年11月19日

働くということ3

21世紀の初頭には、週15時間労働になるであろうとケインズは予言したそうである。ところが、世界中で労働時間がどんどんと延びている。

働くということ - グローバル化と労働の新しい意味

本書は、世界の労働環境がどのように変遷してきたか、なぜ再び長時間労働になってきたのかを解き明かした本である。

印象深かったのは、米国では高額を得ているCEO達が、社員を同僚と見なすのではなく、他社のCEO達を自らの同僚と見なしているという話である。トップと社員との給与格差拡大の原因は、このような意識の変化によるらしい。

技術の進歩と学習能力に関しては、少々、刺激的なことが書かれている。

機械が人間に代わって簡単な仕事をしてくれるようになっていくということは、「高度の頭脳を持つ人間が難しい勉強を何年かしてやっとこなせるような仕事も着々と増えているのです。」 そして逆に「誰でも習おうとすればできる仕事の数も同時に減っていきます。」 つまり高度な「仕事ができる頭のよさがだんだん希少性の高い財産になっていきます。」

これからもどんどん仕事は高度で難しくなっていくということになる。今は十分にこなせているが、10年後の仕事、20年後の仕事はどのくらい高度で難しくなっていくのだろうか。

常に勉強し続ける、走り続けることが、これからの時代を生き抜く鍵になるのだろうか。



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ハードワークと低賃金労働4

米国で出版されベストセラーとなった「ニッケル・アンド・ダイムド」。ここではアメリカの下流社会の現実が描き出されていた。

これに応ずるかのようにイギリスで出版されたのが「ハードワーク」である。

ハードワーク~低賃金で働くということ

一見、ニッケル・アンド・ダイムドの二番煎じのように思えるが、読み始めてみるとそうではないということが分かる。著者は英「ガーディアン」紙のコラムニストであり、ジャーナリストの視点で、現在の英国の低賃金労働の問題点を描き出す。とくに本書で対象となったのは、公共サービスに関する低賃金労働。英国は昔、英国病と言われていたがサッチャー首相の改革により蘇った。その過程で、公共サービスの民間委託が始まったが、それは効率化よりもむしろ賃金抑制によるコストダウンになってしまったということらしい。

著者は、劣悪な環境の公共住宅に入居し、公立病院の運搬係、学校給食の助手、外務官僚専用の託児所のベビーシッター、電話セールス、ケーキ製造所、老人ホームなどで働く。50代半ばなのにすごいバイタリティである。このあたりは、ニッケル・アンド・ダイムドにも通ずるところである。

印象に残った文章。

  • ここでも国は、作業を民間委託することによって、低賃金に目をつぶっていられるのだ。
  • あなたなり私なりがレストランで食事をして、その代金で厨房のスタッフに生きていけるだけの賃金が支払えないとしたら、代金が安すぎるんです。」
  • 「しかし、市場価格というのは、なにかを作って売るときの対価ですよ。」
    「いいえ。生きて行くにも足りないような賃金に依存しているとしたら、それはゆがんだ市場です。市場以下の市場で定まるのは欺瞞的な価格で、真の価格ではありません。」
  • 恵まれた人達にとって、現代は平等な時代という神話は必需品である。この神話が自分たちの生き方を正当化してくれるからこそ、夜も安眠できる。
  • 世間並みの楽しみを与えてくれるあらゆる場所に、「立ち入り禁止」の大看板がかかっているようなものだ。ほかのすべての人たちが生きている消費社会への「立ち入り禁止」。過酷なアパルトヘイトだ。

かつて、未来は平等で明るい社会になるはずだった。ところがグローバル化の競争激化に対して、生産性の向上ではなく、人件費削減によるコストダウンという安易な取り組みが増えたために、世の中にきしみが出ている。

この風潮はいつまで続くのだろうか。



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