国際情勢

2008年07月05日

アフリカ 苦悩する大陸5

アフリカ苦悩する大陸
著者のアフリカを見る目は優しいと思うし、公平な視点だと思う。先週の日経の書評は、評者の意見のほうが偏っているように思えた。

アフリカがなぜアジアのように発展できないのかを、イギリスのエコノミスト誌のアフリカ駐在特派員だった著者が取材や自身の生活経験を元に、様々な角度から検討、分析している。

エリートによる独裁制、内戦、ダイヤや鉱山、石油などの「資源の呪縛」。エイズの猛威。そして部族主義、派閥主義、人種主義を統治の手段として使っていることなど。とはいえ、いくつかの国は、これらの問題を何通りかのやり方で解決しており、そこに著者は希望を見いだしている。

どのように援助し、どのように貿易をすればアフリカの諸国は発展できるのか、アフリカの各国の政府はどうすれば良いのか。政府の政策の善し悪しが、発展するかしないかを決めていると言っても過言ではない。

最近、資源高の流れに乗って、アフリカを対象にした投資信託も登場し始めたが、中身は南アフリカの株式が中心であった。アフリカの希望の星は南アフリカと言うことなのだろうが、次に続く国はどこになるのだろうか。

少々古い話になるが、自衛隊のルワンダ難民救援派遣に関する本を以前に読んでいたので、本書が語るアフリカの状況は理解しやすかった。

不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ〈上〉1989~1996 (新潮文庫)



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2008年06月03日

イラク戦費3兆ドルの衝撃4

世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃
得をする戦争はないこと、国として、社会としては戦争は大きな損であるということが良くわかる本。(ただし一部の者は得をしているのだろうが。)

イラク戦争のアメリカの戦費は当初の予想、予定を大幅に超えて増大しており、いまだに増え続けている。また戦争に投入された資金は再生産や経済の循環にはつながらないため、経済成長の機会損失につながっている。そして、兵員を大量に投入していることで国内の労働生産力の不足、戦死・負傷によって生産人口にもどれないこと、また、負傷によって傷害を負った元兵士を一生、国が養っていくことによる財政負担などが挙げられている。これらはトータルで3兆ドルに上るという。

一方で国民の一人一人の観点からは、戦死、戦傷によって人生を棒に振った若者、その影響を受ける家族などの犠牲のコストも計算されている。また、国土を戦場にされたイラク国民の被害もコストとして定量化されている。

イラク戦争勃発による国際情勢の不安定化とそれに伴う原油の値上がりによる、日本のコストは3070億ドルと試算されている。

これらはすべて、無計画で予算の見通しもないまま戦争に突入した現ブッシュ政権が引き起こしたともいえる。また、それを制止できなかった議会の問題でもある。そして世界は大迷惑を受けたといえる。

アメリカはイラクから撤兵できない限り、さらに戦費は膨らんでいく。また戦費は増税ではなく国債の発行でまかなわれてきた(諸外国が買ってきた)ことから、未来の負債をどうするのか、この点も、今後、大きな課題になるであろう。次期大統領に負わされる責務は大きいと思う。



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2008年05月28日

理性の奪還 合衆国副大統領が書いた本4

理性の奪還 もうひとつの「不都合な真実」
前のアメリカ合衆国副大統領であるアル・ゴア氏が、現職のブッシュ大統領の政策を痛烈に批判した本。権力の座にいた人が書いているわけであり、普通の書き手に比べて、その記述内容に重みがあると思う。

ブッシュ政権が、いかにアメリカの伝統である建国の理念、民主主義の考え方や手続きを無視してきたかを、手厳しく指摘している。常時戦争状態におくことで、大統領の権限を拡大し、あたかも法を超越した存在であるかのように振る舞っていることが、数々の証拠で語られている。金持ちや大企業の意向ばかりを重視している現政権の問題点とそれによる弊害は明らかだと思う。

また、マスコミを使ってテロの恐怖を煽り、国民を誘導する方法などもわかりやすく語られている。これに対するには、米国民が草の根のインターネットで自らの意見を発信していくことの大切であると述べられている。

著者の米国式民主主義への熱い想いがよくわかる。もし、この人がアメリカの大統領になっていたら、世界は今とは全く違っていただろう。

米国の三権分立という均衡と抑制のシステムが危機にさらされていることが、ひしひしと感じられる本である。たった1代の大統領の政策によって、民主主義の総本山であるアメリカの民主主義システムが骨抜きにされてしまったことには驚きを感じる。



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2008年04月09日

貧困大国アメリカ3

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ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

新聞を読むと、サブプライム問題では、銀行などの金融機関の経営の話ばかりが語られているが、サブプライムローンで支払いができなくなり家を追い出されたアメリカの人々はどのような状況なのか、あまり伝えられていない。

本書のエピローグではサブプライムで住宅を得て、そして失った人々の話からスタートする。フードスタンプという貧困層向けの福祉政策が、高カロリー食品ばかりを食べる貧困層を生み出しているということも語られる。2005年にアメリカ国内で飢餓状態を経験した人口はなんと3150万人にものぼるという。

災害対策の民営化がニューオリンズの洪水の悲劇を生み、学校のチャータースクールという民営化が学校間の格差を拡大していく。高い医療保険料と医療費によって、中流階級でも、入院をすると貧困層に転落してしまうという恐ろしい実態も描き出されている。

このような状況の中で、大学進学の援助と引き替えに、軍隊に入る若者も増えているとのこと。無事に帰国できれば良いが、在郷軍人病院への国の補助が減っているため、負傷して帰国すると十分な治療が受けられないという話もあった。

大学生が学費のローンで苦労している話や、仕事がなく家族を養うために危険なイラクでトラックの運転手をした人の話など、現代アメリカのひどい状況が描き出されている。

アメリカはどうなってしまったのだろうか。これからどうなってくのだろうか。

そして日本はどうなるのだろうか。



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2008年04月01日

ジョークで読む国際政治4

政治ジョークは、昔からある典型的なパターンを、新しい登場人物を使って語るというのが定番だと思う。

ジョークで読む国際政治 (新潮新書 256)

本書は、オバマ対ヒラリーの米大統領選挙という最近の話題まで取り込んだ、国際政治の最新ジョーク集である。

お馬鹿なブッシュ大統領、秘密警察的なプーチン大統領、ビル・クリントンとヒラリー・クリントン夫婦、フランスの大統領、韓国の大統領、中国の首相、小泉首相などが取り上げられている。そして珍しいところでは、フィリピンのアロヨ大統領とインドネシアのメガワティ大統領という二人の女性大統領などのジョークもある。定番のイスラエル対パレスチナ、北朝鮮の金主席、イラクのフセイン大統領などもある。

比較的最近の話題をネタにしたジョークが多いので、ジョーク集好きの人にも楽しめる本だと思う。



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2008年03月31日

世界を変えた金融危機3

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) (朝日新書 74)

サブプライム問題の進展に伴って、1997年のアジア通貨危機の話が最近、再び教訓として取り上げられている気がする。アジア通貨危機の時は、IMFの構造改革、制度改革の条件によって、アジア各国はトラウマを負ったと言われている。

本書は金融危機をナイトの不確実性という理論で説明してくれる。今は未知の領域に入っているということらしい。

2000年頃のITブームとITバブルの破裂による落ち込みを支えるために住宅バブルを生じさせ、それがサブプライム問題にまで発展し、今度はサブプライムが破裂した。

本書のテーマはいろいろとあるため一言では言い表せないが、現在の金融危機の本質を理解のための本だと思う。



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2008年03月01日

世界の日本人ジョーク集3

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

ジョーク集って、なぜ、見かけないのだろうか?

この本は、日本人が外国ではどのように見られているのか、ジョーク集という形で教えてくれる。昔のイメージである神秘の国、勤勉な民族、そして金持ちの国というステレオタイプに加えて、最近はイチローや松井のようなアスリートのイメージや、アニメ・漫画の国というイメージからのジョークも増えてきたようである。

もっと読んでみたい気がする。



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2008年01月08日

ボウリング・フォー・コロンパイン5

ボウリング・フォー・コロンバイン

マイケル・ムーアのボウリング・フォー・コロンパインをテレビの正月映画でやっていたので見た。昨年はGyaoでも見たので2回目である。

あらためて、良質のドキュメンタリーになっていると感じた。コロンバイン高校の銃乱射事件をテーマにしているが、アメリカが銃社会であり、マスコミが恐怖心をあおることで人種対立を深めている実情や、格差社会の問題点や企業の振る舞いについても、焦点を当てている。

なぜアメリカよりも銃の所持率が高いカナダのほうが、銃による事件が桁違いに少ないのか。この単純な問いの答えが見つからないところに、アメリカの病弊の深さがあるのかもしれない。

同じようにアメリカの医療制度の問題点を深く問いかけているのは、同監督の最新作のシッコである。昨年、日本でも公開された。シッコでも、カナダ、フランス、イギリス、キューバの医療制度とアメリカの医療制度を比較することで、アメリカの問題点を浮き彫りにしていた。

シッコは、ボウリング・フォー・コロンバインの続編ともいえると思う。

SICKO



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2007年12月24日

スティグリッツ教授の経済教室3

スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く
グローバル経済への警鐘を鳴らしている元世界銀行上級副総裁のエッセイ集。専門誌に毎月寄稿していたものを2003年から2007年までまとめたものがこの本である。イラク侵攻への批判から、先進国と開発途上国の貿易交渉への提言、そしてサブプライム問題の発生の危険性の予告まで。高い視野からバランスよく、世界経済のありかたを説明してくれている。ブッシュ政権のちょうど対極のスタンスをとる良識派とでもいえるだろうか。

著者の作品では、この本のほうが読みやすかった。

世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す

また、アメリカの綿花農家が、なぜ世界最強なのかについては、この本がとてもわかりやすい。

あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実



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2007年11月12日

地図で読む世界情勢3

地図で読む世界情勢 第1部 なぜ現在の世界はこうなったか

世界各地で起こっている国際紛争について、地政学的観点から解説してくれている。地図上で色分けし、見比べることで、文字だけのニュース記事からは読み取れなかったことが見えてくる。

本書を読んで興味深く思ったのが、ディエゴガルシア島の形、グリーンランドがアメリカに近いこと、ロシアの飛び地がリトアリアとポーランドの間にあること、イスラエルとパレスチナの領域の入り組み方、イランの周囲が実はアメリカ軍の基地に囲まれていることなど。

これからはGoogle Earthなども使ってみようと思った。



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