2008年05月17日

サブプライムの実相 詐欺と略奪のメカニズム4

サブプライムの実相―詐欺と略奪のメカニズム

サブプライム問題は、構造的な問題だったということがよく理解できる1冊。サブプライムの顧客層に対する詐欺的な貸付がなぜ起こったのか、なぜこれだけ拡大したのかが、その経済的なメカニズムとともに詳しく説明されている。とくに連邦政府、FRBの不作為に対して舌鋒は厳しい。

結局のところ本書で語られているつぎの言葉(P.191)に集約されると思う。

「悲劇は、ローンとは貸したものが返済を受けて、償還されるまで責任をもって、借り手の信用を監視するというモデルを実務慣行とする石器時代の法制度のまま、モーゲージやローンが善意無過失の投資家の間をを流通する時代になってしまったことだ。実体法は、そもそもローンなどが売買により譲渡され、しかも仲介者を通じて、証券化され、それほど容易に転売され、2次流通し、ましてや3次市場までできることなど想定していない。」

中略

「この市場のメカニズムは、想定外の詐欺がおこったとき、重大な欠陥を露呈する。しかし現実は、想定どおりにはいかない。不正は制度的温床があるから、同時代的に一斉に発生し、まるで伝染病のように広がり、3次市場ではもはや回収し治癒することが不能な状況におちいる。」

サブプライム貸付とその証券化という仕組みに重大な欠陥があり、一部の者はそれを利用し、一部の者は気がついていたがそのことを気にせず、大多数の者はそのことに気づいていなかった、ということだろうか。

本書の内容はとても詳細で、これだけでサブプライム問題の本質を語り尽くしていると思う。一方で、急いで出版されたためか、単純なワープロ誤変換、タイプミスなどの誤字、脱字、章の構成の見直しによるためなのか、同じ文章が複数箇所で出てきたり、3文字略語が説明なしで多用されて後から定義されているようなところなどが散見された。編集、校正が不十分な印象である。

このためいきなり本書を読んでも理解が難しいとも思う。私は下記の本を読んでいたので、本書も理解しやすかった。

サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)
こちらは、状況を把握するというためには、短時間で理解できる良書だと思う。

 



sunnycanal at 10:10 │Comments(0)TrackBack(0)clip!グローバル経済  | マネー

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