2008年05月
2008年05月28日
理性の奪還 合衆国副大統領が書いた本
理性の奪還 もうひとつの「不都合な真実」
前のアメリカ合衆国副大統領であるアル・ゴア氏が、現職のブッシュ大統領の政策を痛烈に批判した本。権力の座にいた人が書いているわけであり、普通の書き手に比べて、その記述内容に重みがあると思う。
ブッシュ政権が、いかにアメリカの伝統である建国の理念、民主主義の考え方や手続きを無視してきたかを、手厳しく指摘している。常時戦争状態におくことで、大統領の権限を拡大し、あたかも法を超越した存在であるかのように振る舞っていることが、数々の証拠で語られている。金持ちや大企業の意向ばかりを重視している現政権の問題点とそれによる弊害は明らかだと思う。
また、マスコミを使ってテロの恐怖を煽り、国民を誘導する方法などもわかりやすく語られている。これに対するには、米国民が草の根のインターネットで自らの意見を発信していくことの大切であると述べられている。
著者の米国式民主主義への熱い想いがよくわかる。もし、この人がアメリカの大統領になっていたら、世界は今とは全く違っていただろう。
米国の三権分立という均衡と抑制のシステムが危機にさらされていることが、ひしひしと感じられる本である。たった1代の大統領の政策によって、民主主義の総本山であるアメリカの民主主義システムが骨抜きにされてしまったことには驚きを感じる。
2008年05月22日
攻防メガ百貨店
攻防メガ百貨店
どこのデパートに行っても同じブランド品が売っているから、どこに買いに行っても同じ...と思っていたのだが、実は違うらしい。よく売れるデパートほどバイイングパワーが強く、品揃えが良くなる。とくに伊勢丹は強力だとのこと。
ここ数年の大手百貨店の経営統合とその効果、得失、今後の長期経営戦略等、百貨店業界の今を克明に追った本。伝統と格式に対して効率化、スピード化をどのように取り組んでいるか、生い立ちの異なる百貨店の経営統合は百貨店の文化をどのように変えているかなどが書かれている。
東京では東京駅・日本橋地区、銀座地区、新宿地区が熱い地域になっているようだ。数十億から数百億円かけての改装費という金額の規模にも驚いた。年間売り上げの半分近い金額を改装費に充てるというのも、たいへんなことだと思う。
東京の百貨店でショッピングをするのが好きな人には、楽しめる本だと思う。
着任3カ月の原則
着任3カ月の鉄則―こんな「指導法」があったのか! 上司らしくなる技術 (PRESIDENT BOOKS)
最初に上司力レベルを判定するシートがあったので、これは中間管理職のための良いテキストかなと思った。着任3カ月の原則がたくさん書いてあるのかと...。ところが3カ月の話は、13ページほどだった。
第1章は、上司らしくなるための技術、第2章は、最新人事マネジメント10のポイント、第3章は経営者が語る新型マネージャーについて。
雑誌プレジデントの特集記事を再編集した本なので、大勢の著者の文章で構成されており統一感はない。だが、ひとつひとつの話は役に立つものだと思う。様々な立場、様々な視点、経験から書かれているので、ちょっとお楽しみ袋(福袋)的な感じだった。
2008年05月17日
サブプライムの実相 詐欺と略奪のメカニズム
サブプライム問題は、構造的な問題だったということがよく理解できる1冊。サブプライムの顧客層に対する詐欺的な貸付がなぜ起こったのか、なぜこれだけ拡大したのかが、その経済的なメカニズムとともに詳しく説明されている。とくに連邦政府、FRBの不作為に対して舌鋒は厳しい。
結局のところ本書で語られているつぎの言葉(P.191)に集約されると思う。
「悲劇は、ローンとは貸したものが返済を受けて、償還されるまで責任をもって、借り手の信用を監視するというモデルを実務慣行とする石器時代の法制度のまま、モーゲージやローンが善意無過失の投資家の間をを流通する時代になってしまったことだ。実体法は、そもそもローンなどが売買により譲渡され、しかも仲介者を通じて、証券化され、それほど容易に転売され、2次流通し、ましてや3次市場までできることなど想定していない。」
中略
「この市場のメカニズムは、想定外の詐欺がおこったとき、重大な欠陥を露呈する。しかし現実は、想定どおりにはいかない。不正は制度的温床があるから、同時代的に一斉に発生し、まるで伝染病のように広がり、3次市場ではもはや回収し治癒することが不能な状況におちいる。」
サブプライム貸付とその証券化という仕組みに重大な欠陥があり、一部の者はそれを利用し、一部の者は気がついていたがそのことを気にせず、大多数の者はそのことに気づいていなかった、ということだろうか。
本書の内容はとても詳細で、これだけでサブプライム問題の本質を語り尽くしていると思う。一方で、急いで出版されたためか、単純なワープロ誤変換、タイプミスなどの誤字、脱字、章の構成の見直しによるためなのか、同じ文章が複数箇所で出てきたり、3文字略語が説明なしで多用されて後から定義されているようなところなどが散見された。編集、校正が不十分な印象である。
このためいきなり本書を読んでも理解が難しいとも思う。私は下記の本を読んでいたので、本書も理解しやすかった。
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)
こちらは、状況を把握するというためには、短時間で理解できる良書だと思う。
2008年05月12日
交渉の論理力
交渉の論理力!―どんな相手も説き伏せる切り返し術
著者は裁判官の経験のある弁護士とのこと。このため交渉時に、交渉者が第三者からどのように見えるのかなどについて書かれている点がひとつの特徴だと思う。
交渉においては、つぎの点に留意しておくと良いらしい。
- 聞き上手であること
- 留保を積み上げて逃げ道を作っておくこと
- バッファゾーンを持つこと
- タイムフレームを作って時間を制すること
- 契約書は自社でつくること
- オプションを多く持つこと
- イエスを積み重ねていき、ノーと言いづらくすること
ここのところ交渉術の本を何冊か読んできたが、弁護士による交渉術はどうしてもウイン・ルーズの交渉の話になってしまうので、ビジネスで使える範囲は割と限定されている気がする。
























